教室で使えるかもしれないもの作り

「つぼみの本が 人数ぶん ありません」20種類を全員に配る図鑑アプリ「いろいろな つぼみと 花」

いろいろな つぼみと はな を開く コードを見る

🏫 はじめに

1年生が つぼみと花の文を書く時間に、図書室の本が足りなくて困ったことはありませんか。20種類のつぼみと花を、カードでめくれるアプリを作りました。

ホーム画面。つぼみのカードが3列に並んでいる
トップページ。上になかまわけのタブ、下にカードが並びます。

6月に「つぼみ」という単元があります。8時間。1年生が初めて出会う説明の文章です。以前は「くちばし」だったところが、いまの教科書では入れかわりました。

ここで学ぶのは、説明の文章には とい の文と こたえ の文がある、ということです。教科書に出てくるのは、あさがお、はす、ききょうの三つ。つぼみの形をせつめいしたあとに「これは、なんの つぼみでしょう。」と問いかけて、次のページで「これは、あさがおの つぼみです。」と答える。答えのあとには、どんなふうに咲くのかが続きます。この形が三回くり返されます。

単元の終わりに、子どもたちはその形を使って、自分でつぼみと花の文を書きます。教科書と同じ文型で書かれた学習用の本が図書室にあるので、そこから好きな花を選んで書くことになります。

ただ、本の数はかぎられています。読みたい本が空くのを待つ子が出ますし、同じ花を選んだ子どうしで一冊を取り合うことにもなります。書きたい気持ちがいちばん高いところで、順番待ちが起きる。

そこをなくしたくて作りました。20種類ぶんを、全員の端末に同時に開けます。

https://tsubomi-learning.giga-school.com/

ブラウザで開くだけで動きます。入れるものはありません。

📱 このアプリでできること

画面をひらくと、カードが並びます。パソコンや電子黒板のような横長の画面なら3列、子どもの端末を縦に持てば1列です。並ぶ枚数はどちらでも20枚で、上から下まで送ると全部見られます。

カードが3列に並んだ画面
にわ・みちばたの はな 12種類と、やさい・くだものの はな 8種類。あわせて20種類です。

おもてには オレンジ色の とい の札がついています。写真の下にあるのは、つぼみの形だけをせつめいした文です。名前はまだ出てきません。

チューリップのつぼみのカード
とがった ぼうしのような 形。だんだん 花の色に かわっていきます。

カードのどこをおしても、くるりと裏返ります。写真の上でも、文の上でも、どこでもかまいません。おせるのはカード全体なので、ボタンを探さなくても、どこかに触れば裏が出ます。うらは青い こたえ の札で、咲いたところの写真と、名前を明かす文が出ます。

チューリップの花のカード
同じカードのうら。上を向いて、花びらが ふわりと 開きます。

紙の図鑑だと、つぼみの写真と花の写真は別々に載っています。ここでは同じカードの表と裏です。手で裏返すと、つぼみが花になる。その一瞬を手もとで起こせるようにしたくて、二枚のカードではなく一枚の表裏にしました。

裏返すときには、めくったことがわかるように、ぽんという短い音が鳴ります。音を切るボタンは入れていません。20台いっせいに鳴るとにぎやかになるので、音を出したくない場面では、端末の音量を下げてから配ってください。

カードの下には、ボタンが二つ並んでいます。左が「こえで きく」、右が「こたえを みる」です。

カードの下にあるふたつのボタン
こえで きく は、いま出ている面の文をそのまま読み上げます。速さは、ふつうの0.75倍。声もすこし高めです。

6月の1年生は、文字を読むこと自体にまだ力を使います。書く材料を選ぶ段になって、文が読めないせいで手が止まるのは、この単元でいちばん避けたいところでした。だから、どのカードにも読み上げのボタンを付けてあります。

ここには、ひとつ細工をしてあります。読み上げるときに読ませているのは、漢字ではなく、ふってある ふりがな のほうです。「形」は かたち、「花」は はな。端末の読み上げは、漢字の読み分けをまちがえることがあるからです。

読んでいる最中にもう一度おすと、そこで止まります。ボタンの文字も とめる に変わるので、いま鳴っているのが自分の端末かどうかが見てわかります。

一覧のまま何枚か裏返しておくこともできます。とい と こたえ を横に並べて見くらべると、二つの文の作りのちがいが目に入ります。

ひまわりだけを裏返した一覧
まん中のひまわりだけ、こたえの面にしました。

上のタブでなかまを切りかえると、裏返していたカードはおもてに戻ります。もう一度おなじカードで考えさせたいときは、タブを一往復させてください。

なかまわけは三つです。すべての しょくぶつ、にわ・みちばたの はな、やさい・くだものの はな。

やさい・くだものの はな でしぼりこんだ画面
やさい・くだもののタブ。菜の花、キュウリ、いちご、かぼちゃ、おくら、りんご、みかん、ブロッコリーの8種類が残ります。

やさい・くだものを入れたのは、花が咲くのは花だんの中だけではない、と気づいてほしかったからです。いちごの白い花も、かぼちゃのラッパのような黄色い花も、給食や家の食卓につながっています。

ブロッコリーの とい の文だけ、ほかと少しちがいます。形のせつめいのあとに、こう書き足してあります。「わたしたちが いつも 食べている ところです。」。

ブロッコリーのつぼみのカード
緑の ちいさな つぶつぶが、もこもこと ぎっしり あつまっています。
ブロッコリーの花のカード
そのつぶつぶが開くと、黄色い花がとびだすように咲きます。

いつも食べているあの緑のつぶが、ぜんぶつぼみだった。国語の時間に見ておくと、給食の時間にもう一度思い出せる一枚です。

💡 20枚ぜんぶ、「これは、なんの つぼみでしょう。」で終わります

はじめに作った版では、とい の文がこう始まっていました。「これは、チューリップの つぼみです。とがった ぼうしのような 形を しています。」。形のせつめいより先に、名前が出てしまっていたのです。これでは、そのあとに「これは、なんの つぼみでしょう。」と聞いても意味がありません。20枚ぜんぶが、答えの書いてあるクイズになっていました。文の意味そのものは通っているので、読み流すと気づきません。気づいたのは作った日のうちで、公開するよりは前でした。

いまは、とい の面から名前を抜いてあります。形のことだけを書いて、最後に問いかけて終わる。名前は、裏返したあとの こたえ の面の一文目に置きました。「これは、チューリップの つぼみです。」。教科書の あさがお の こたえ と、おなじ並びになります。

ひまわりのつぼみのカード
緑の はっぱに くるまれて、たいらな おさらのような 形。
ひまわりの花のカード
うらを見ると、一文目で名前がわかります。

文は20種類ぜんぶ、この型でそろえてあります。とい は形のせつめいで始まり、「これは、なんの つぼみでしょう。」で終わる。こたえ は「これは、なになにの つぼみです。」で始まり、咲きかたのせつめいが続く。どのカードを開いても同じ並びなので、二枚目から先は、子どもたちのほうが先に文の形を言い当てるようになると思います。

教科書に出てくる あさがお、はす、ききょう は、この20種類に入れていません。教科書を開けば読める三つを、もう一度アプリで見せる必要はないからです。

教科書の本文をそのまま持ってきたところも一つもありません。教科書と同じ文型と順序にそろえて、新しく書き起こしたものです。

✍️ 書く時間に、20種類から選べます

単元の終わりに、自分でつぼみと花の文を書く時間があります。図書室の学習用の本から花を選んで書く、というのがもとの形です。そこを、このアプリで置きかえられるようにしました。

図書室の本とちがって、順番待ちが起きません。20種類は全員の画面に同時に並びます。同じ花を二人が選んでも、取り合いになりません。

いちごのつぼみのカード
緑の ギザギザした はっぱに つつまれて、下を むいています。
いちごの花のカード
花が ちった あとに、あまくて あかい 実が できます。

カードは、とい と こたえ が対になって出ます。表を見て、裏を見て、また表に戻す。書くまえに、その型を何度でも確かめられます。書き写すためではなく、型を見て自分の言葉で書くための材料になればと思って並べました。

いちご の こたえ の文は、花のあとに実ができるところまで書いてあります。そこを取り立てて説明はしていません。気づいた子が自分で言い出すぶんには、それでいいと思っています。

おくら の こたえ の文には、あさに咲いて夕方にはしぼんでしまう、と書いてあります。一日で終わる花があることは、20枚を通しでめくらないと出てきません。時間があるときは、全部見せてほしいところです。

がくしゅうの ポイント
画面のいちばん下。ふりかえりのときに読ませる言葉を置いてあります。

✨ 導入のメリット

三つのいいことが期待できます。

一つ目は、書く時間に全員が同時に材料を持てることです。順番待ちも取り合いもなくなります。図書室まで移動する時間も要りません。教室で、端末を開いたところから書く時間に入れます。

二つ目は、字を読むのに時間がかかる子が、自分のペースで進めることです。こえで きく のボタンは、といの面にも、こたえの面にもあります。先生に読んでもらう順番を待たずに、自分で押して、聞きたいだけ聞ける。何度おしても、だれにも気づかれません。書く材料を選ぶところで、読む力の差がそのまま出てしまわないようにしたかった。

三つ目は、話し合いが起きやすいことです。とい の面には答えが書いてありません。写真と、形をせつめいする文だけです。だから、裏返すまでのあいだに、あれかな、これかなと言い合う時間ができます。答えを言ってしまう子がいても、手もとの端末で自分でめくれば確かめられるので、けんかになりにくい。

一つ、はっきり書いておきます。このアプリの写真は40枚とも、生成AIで用意した画像です。実際に撮影した写真ではありません。本物の植物のように見えますが、実物の記録ではないので、観察のかわりにはなりません。実物を見る学習と組み合わせて、こんな形だったかなと思い出したり、その季節に見られない植物を補ったりする使い方を想定しています。

フッターの注意書き
画面のいちばん下にも、同じことを書いてあります。

生活科の観察カードの代わりに使うのは、やめてください。同じ6月には「おおきく なった」という、育てている植物を観察して記録を書く単元もあります。そちらは本物を見て書くところです。このアプリの出番は、国語の、文の型を使って書く時間のほうです。

🛠️ 【管理者向け】導入手順

配信しているアドレスは、次の一つだけです。

https://tsubomi-learning.giga-school.com/

校内のフィルタリングで許可が必要になるのは、tsubomi-learning.giga-school.com と、文字の書体を読みにいく fonts.googleapis.com、fonts.gstatic.com の三つです。書体の二つがふさがれていても、端末に入っている書体で表示されるので、内容はそのまま読めます。申請が通りにくい学校なら、一つ目だけ通してもらえれば動きます。

端末の種類は問いません。Chromebook でも iPad でも Windows でも、ブラウザがあれば同じ画面が出ます。入れるものがないので、情報担当の先生の作業は、フィルタリングの許可だけで終わります。

アカウントもログインもいりません。名前を入れる画面も、クラスを選ぶ画面もありません。ひらいた瞬間からカードが並びます。

子どもの端末でひらいたところ
縦に持つと1列になります。ここまで、ひとつも入力していません。

学習の記録は残りません。何枚めくったか、どのカードを見たかを保存する仕組みを持っていないからです。点数もつかない作りです。外へ送るデータも持っていません。共用の端末でも、次に使う子に前の子の記録が見えることはありません。逆に言えば、どの子がどこまで見たかを先生の手もとに集めるのも無理です。そこは紙のワークシートに任せました。

くわしい取りあつかいは、次のページに書いてあります。

プライバシーポリシーのページ
https://tsubomi-learning.giga-school.com/privacy.html

写真は40枚で、あわせて3.3メガバイトほどです。最初に開いたときにまとめて読みこむのではなく、画面を送って必要になったところから読みこみます。とはいえ、インターネットにつながっていないと開けません。電波の弱い教室で使う予定があるなら、授業のまえに1台で開いて、絵が出るところまで確かめておいてください。

画面の幅で、並ぶ列の数が変わります。横に広い画面なら3列、タブレットを横に持てば2列、縦に持てば1列です。電子黒板に映すときは、ブラウザの拡大を使って1枚を大きくしてください。うしろの席からでも文が読めます。

読み上げは、端末に入っている日本語の声を使います。声が入っていない端末では、こえで きく をおしても何も起こりません。そのほかの操作はそのまま使えます。学校の端末は同じ設定で配られていることが多いので、1台で試せば全台の見当がつきます。

並べかえや検索の窓は入れていません。カードの順番はいつも同じで、チューリップから始まってブロッコリーで終わります。授業で「三つ目のカードを見てください」と言えるようにするためです。順番が毎回変わると、電子黒板の画面と子どもの手もとの画面がずれてしまいます。

印刷は考えていません。紙に出すと、めくるところが消えてしまうからです。掲示物が必要なときは、教科書会社の資料か、実際に撮った写真を使ってください。

📖 【利用者向け】使い方のガイド

  1. ブラウザで https://tsubomi-learning.giga-school.com/ をひらきます。電子黒板でも、子どもの端末でも、出てくる画面は同じです。
  2. 教科書の三つを読んだあとに配ります。とい と こたえ の形をつかんでいるほど、このアプリは効きます。
  3. カードのおもてを見て、つぼみの形をたしかめます。写真の下の文を声に出して読ませると、形をあらわす言葉に目が向きます。
  4. 文が読みにくい子には、こえで きく をおさせます。もう一度おすと止まります。
  5. 「これは、なんの つぼみでしょう。」まで読んだら、答えを予想させます。ここで少し待つと、まわりの子と話し始めます。
  6. カードのどこか、または こたえを みる をおして裏返します。花の写真と答えの文が出ます。
  7. こたえの一文目が「これは、なになにの つぼみです。」の形になっていることを確かめます。教科書のあさがお、はす、ききょうと同じ並びです。
  8. 上のタブをおすと、なかまわけができます。
なかまわけのタブ
三つのタブ。いま選んでいるものが緑色です。
  1. にわ・みちばたの はな をおすと、花だんや通学路で見かける12種類だけが残ります。
  2. やさい・くだものの はな をおすと、8種類に切りかわります。ここで、やさいにも花が咲くことに気づかせる展開ができます。
  3. すべての しょくぶつ に戻すと、20種類が並びます。このとき、裏返していたカードはおもてに戻っています。
  4. 書く時間には、20枚から一つ選ばせます。とい の文と こたえ の文を見ながら、自分の言葉で二つの文を書かせてください。
  5. 電子黒板だけで進めるときは、1枚を大きくしてから、といの文を全員で読み、予想を出させてから裏返します。手もとの端末を配るのは、そのあとにすると、めくる音が重なりません。

読み上げを使う子が何人もいる学級なら、その子たちにイヤホンを配ってください。20台ぶんの声が重なると、どれが自分の端末かわからなくなります。ボタンの文字が とめる に変わっているかどうかで見分けはつきますが、1年生には少し難しいところです。

にわ・みちばたの はな でしぼりこんだ画面
にわ・みちばたのタブ。チューリップ、ひまわり、たんぽぽから始まる12種類です。
たんぽぽのつぼみのカード
たんぽぽは、はじめ下を向いています。
たんぽぽの花のカード
おひさまが でると 開いて、かげると とじます。

たんぽぽの こたえ の文には、咲いたあとに開いたり閉じたりする話まで入れてあります。通学路で毎日見ているものなので、明日の朝、外に出てそのまま確かめられます。

📝 まとめ

このアプリがしているのは、写真を出すことと、文を読み上げることだけです。採点もしませんし、記録も残しません。増やそうと思えば増やせるところですが、いまは足していません。

とい の文を読んで、形を見て、あれかな、これかなと言い合う。裏返して、当たったりはずれたりする。その数十秒のあいだ、先生は何もしなくていい。教室を歩いて、どの子がどの言葉に反応したかを見ていられます。ICT を使う意味は、この時間が生まれるところにあると思っています。準備の作業が減ることより、こちらのほうがずっと大きい。

とい と こたえ の形は、この単元で終わりません。9月の「うみの かくれんぼ」は、「つぼみ」で といと こたえ の文があったことを思い出すところから始まります。そのあとも「じどう車くらべ」「どうぶつの 赤ちゃん」、2年の「たんぽぽの ちえ」と続いていきます。6月にこの形をつかんだかどうかが、そのまま先まで効いてきます。

いまの20種類は、つぼみと花の二枚で完結しています。たんぽぽのように、咲いたあとにもう一段ある植物をどう扱うかは、まだ決めていません。20種類を増やすかどうかも同じです。

書きたい気持ちがいちばん高いところで、本の順番待ちをさせない。それだけのために作りました。合う合わないは、一度ひらいて、三枚めくってみればわかると思います。よかったら試してみてください。

一歩踏み出そうとする先生を、私はいつでも全力で応援しています。

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